漢方に対する誤解や医療現場での使用状況

東洋医学の代名詞とも言える漢方薬は日本では馴染み深い医薬品です。その一方で誤った考えが根強く残っている事実は否定できません。漢方薬は西洋医学で使われる医薬品とは異なり、副作用が存在しないという誤解は現在でも払しょくされていません。これは西洋医学で使われる医薬品が成分を抽出して固めるなど人工的に作られた物なのに対し、漢方薬は薬草などをそのまま使用しているのが大きな理由です。素材をそのまま使うので安全なイメージがありますが、実際は漢方薬にも副作用は存在します。使う量を誤ると重大な健康被害に見舞われるおそれもあるので、漢方薬だからと言って安易に乱用してはいけません。必ず、医師の処方箋に基づいて使用することを心がけます。漢方薬は人体の治癒力向上を促し、ゆっくりと体調を改善させる目的で用いられています。西洋医学は疾患を引き起こしている部分を速やかに取り除くことを主題にしていますが、東洋医学は徐々に治癒力を向上させて病気にならない体にすることを重視しています。現在の医療では双方の利点を活かした総合的な治療を行っているので、患者の体調や病状に合わせて薬剤を使い分けるのが普通です。漢方薬も成分を抽出した純度の高い医薬品に加工されている物がほとんどなので、用法や用量に関する注意点は一般的な医薬品と変わりません。体の不具合を解消して体調の改善を図るという意味では漢方薬も一般的な医薬品と同等の扱いと言えるでしょう。