漢方を使った治療の特徴の一つに、全身のバランスを整えることがあります。西洋医学では症状が現れてから原因を細かく分析し、病気を引き起こしている臓器などを特定します。一方漢方を取り入れた東洋医学では原因となる部分だけでなく、身体に影響を与えるとされているストレスや季節の変化、生活習慣にも目を向けるのが特徴です。不調の原因だけでなく全身のバランスも考えて、それに合った漢方を処方します。漢方が得意としているのが、「未病」と呼ばれるものです。西洋医学では病名が付かないような、些細な身体の変化に対応することが可能です。風邪っぽいけれど熱は出ていない、何だか身体がダルいけれど検査では異常がないなどのケースも当てはまります。病名が付く前に漢方を服用することで、病気を予防するのが得意なのです。もちろん西洋医学で病名が付いた場合でも漢方を用いて治療にあたることもあります。また薬の副作用が強い、体質で薬が使えないときにも漢方が処方されることも珍しくありません。漢方を処方するときには、「四診」と呼ばれる方法で患者さんにピッタリの漢方を探し出します。四診は顔色を診る「望診」や心臓の音を確かめる「聞診」、脈をチェックする「切診」や症状や生活習慣を質問する「問診」です。これらの診察をして、総合的に判断して処方する漢方を決めるのです。漢方はじっくり時間を掛けて効いていくと言われているので、長期間分処方されることもあります。時間を掛けて治療していって、最終的に全身のバランスが整うようにするのです。